内藤ルネは、その独特な感性と多彩な才能で、今や世界中に広がる日本独自の「Kawaii」文化の原型をつくったアーティストです。今から約半世紀も前に「デフォルメした大きな目」「小顔にヒョロ長いプロポーション」の女の子を初めて描き、パンダブームより先にパンダを初めてキャラクター化し、ファンシーグッズという言葉さえなかった時代に多くのグッズを生み出すなど、ルネの作品は当時の少女たちの心をつかみ、瞬く間に多くの人に広がっていきました。そして、それまで“幼稚”や“ちっぽけな”というややネガティブな意味であった「カワイイ」という言葉を、可憐でキュートなイメージに変え、“生活の中にファンタジックな夢を”と願いを込めて、あらゆる身近なものを「カワイイ」と表現し、私たちに具現化して見せてくれたのです。かつて手塚治虫が誰も想像していない遠い未来や宇宙やロボットを私たちに見せてくれたように、ドラえもんが私たちをワクワクさせてくれたように、内藤ルネは、私たちに「カワイイ」という感動と夢に気づかせてくれたのです。